為す阿僧祇はすべて抵抗。
計器は振れるが、
連結器の美学は動じない。
手にするは掬い水。
欲したのは掌に凝縮する真空、
その一点。
加熱管にエーテルを一杯。
帰路の焼灼。
車掌の顔には
貴方の切符は定義が弱いとある。
到着駅を示す掲示板が、
影は光の亜種であり、
夜は質量そのものだと案内する。
光は冬に届くたび、
名を与えようと固着りつく。
だが、私は。
名付けられぬために座標をずらし、
観測されぬために停止し、
燃え残るために、沈凍する。
ただ、全ての忘却に向かって、
わたしの一瞬は収束する。
碍粲列車が、いまーー
月台には
真風が過ぎり、真名が崩壊する。
外套は旗々々と暴れ、
那由多が空に散乱する。
瑠璃鶲が、飛翔す。