上半身は破裂し 朱の星屑を撒き散らす
下半身は錆びた硬貨の雨に崩れ落ちる
顔は底なしの洞 迷宮の咽喉へと開き
その縁で涙は黒い潮となり飽和する
臓器は歯車の律動で脈打ち
酸素と悲嘆を混同しながら回転する
宙空の桟は冷たい罫線
肉体を賽の目に切り裂き 縫い戻し
閃光の裂傷が 絶え間なく走る
そのたび 洞穴の奥で
声にならない呻きが こだまする
おこ.. しやすぅ
可動域は東西南北とその斜角
半径五メートルの死角の中のみ
壁は透明 見えるほどに遠く
空は閉塞 地は揺動
時間さえ鉄の檻で編まれている
酸鉄の芳香が 呼吸を蝕み
沈黙が骨を内側から噛み砕く
やがて言葉も名も溶け出し
脈拍だけが機械音に引き継がれる
残るのは 擦り切れた影と
泣き腫らした入口だけ──