Nirquill Journal

春はるは　あけぼのの　ちからくらべ
しらじらと　山やまぎは　いとどあかるくなりて
をかしき　ほのあかるき　かすみ　さじきのかたなる道みちにただよひ
すみれぐも　ほそく　たなびけば
とほくの太鼓たいこ　とどろきて　胸むねうちふるはるる
ぶれいんばすたあ

夏なつは　夜よるの　ぶつかりあひ
月つきのころはさらなり　星ほしの光ひかり　物見ものみの人ひとの群むれをうち照てらし
ほたる火び　火花ひばなのごとく　飛とびかひ
汗あせとこゑ　もみあひ　からみあひ　闇やみのなか
あつく　ほとばしる　さそりがためも　いとをかし

秋あきは　夕ゆうぐれの　なごりあひ
西にしのそら　あかねにそまり すすきのほ　そより　諸手もろてひろげて
わざ比くらべ終おへし　おのこら　礼れいをかわし
虫むしの音ね　なごりの火照ほてりをはこぶ風かぜにまじろひ
ひときは　ひびく　どろっぷきっく

冬ふゆは　つとめての　たたかひ
霜しものいと白しろきに　床ゆかきしみ　
白しろき息いきなどの　いと高たかく見みゆるも　いとをかし
しんしんと　凍こごゆる空気くうきに　心こころさゆる心地ここちす
踏ふみならす　足あしおと　するどく
やがて　朝日あさひ　さしそめば
たかく　かちどきをあぐ　こぶらついすと

あなめでた　宮みやのおまへの　熱ねつ伝つたはるも　いみじうをかし